準静電界を用いたHMD内での気配の知覚方法の提案

鈴木 謙太(神奈川工科大学) 阿部 洸也(神奈川工科大学)

現実空間では,後ろに人が立っている時などに,「人が居る」とわかることがある.それは電界の1つである準静電界が体毛を刺激する事により認識できている. しかし,HMDを用いたコンテンツでは視覚 / 聴覚のみを使い他者を認識するので、気配の知覚をすることが出来ない. そこで,我々が提案するのは3D空間内の状況により,準静電界を発生させることで気配の知覚を促すシステムである.

等身大の仮想、手の中のリアル

明石 禎紀(電気通信大学) 冨井 陸矢(電気通信大学) 真鍋 光希(電気通信大学) 高見 太基(電気通信大学) 帆山 遼(電気通信大学) 羽賀 聡希(電気通信大学) 寺崎 葉月(電気通信大学) 武井 友里恵(電気通信大学) 鈴ヶ嶺 聡哲(電気通信大学) 山中 佑紀(電気通信大学) 峯水 延浩(電気通信大学) 成見 哲(電気通信大学)

コンピュータの作り出す仮想3D世界の臨場感を高める要因の中で、表示される大きさに着目した二種類のデモを行う。一種類目は、人と同じ大きさで実現した仮想的な鏡とイルミネーション用LEDを使った電光掲示板である。二種類目は、仮想的な大学の3Dモデルを使ったスマホアプリで、現実の人の動きや車の動きに合わせて仮想の人や車が動く。手の中の仮想世界をリアルな人や物体とシームレスに接続することで臨場感を高める。

拡張現実感を用いた目標物追跡支援双眼鏡

久保田 倉平(神戸大学) 寺田 努(神戸大学) 塚本 昌彦(神戸大学)

遠方のものを拡大して見ることができる双眼鏡は、コンサートや野鳥観察などで使用されているが、倍率されているため、その視野は狭くなる。そのため、特に目標物が動く場合、一度見失うと再び見つけ出すことが難しいといった問題がある。そこで、取り付けたWebカメラから目標物をトラッキングし、目標物までの方向情報を拡張現実感を用いて双眼鏡視野に重ねて表示させることで、目標物の追跡支援を行うシステムを作成した。

Picby - Pictogrammingを用いたRuby言語の学習環境の提案 -

伊藤 一成 (青山学院大学)

筆者は,人型ピクトグラムを用いたコンテンツ作成環境「Pictogramming(ピクトグラミング)」を提案している.Pictogrammingは,プログラミング学習環境の側面も有し,様々な文脈で利活用されている.人型ピクトグラムを変形する“ピクトアニメーション”コマンドと人型ピクトグラムの体の部位の移動の軌跡を描画する“ピクトグラフィックス”の2種類のコマンドを併用することで,短時間でピクトグラムのデザイン指針に準じた多様な作品を作成できると同時にプログラミングの諸概念が学習できるのが特徴である.ピクトグラミングはコマンドに独自の記法を採用しているが,この記法に基づくコード出力を支援するRubyライブラリとRuby言語を学習できるWebアプリケーションを構築し,その学習環境を「Picby(ピクビー)」と命名した.実装方式と利用可能性について論ずる.

HaptoBOX: 複合現実体験を増強する多感覚型インタフェースの研究(2) インタラクティブ機能の拡張

木川 貴一郎(立命館大) 大島 登志一(立命館大)

本研究では,ビデオシースルー型複合現実感を基盤として,多感覚的にリアリティを増強するインタフェースを研究している.HMDを装着し箱状の本デバイスを手に持つと箱内にオブジェクトが表示され,オブジェクトの動きに応じて振動や反動が映像と同期して提示されることで多感覚的にリアリティを増強することができる.第1報では,アクチュエータを組み込み試作したデバイスを提案した.第2報では,国際会議での展示実験の考察とそれを踏まえた改良について論じる.

心を1つに:拡張された身体の一体化を志向するメディアの提案

香川真人(豊橋技術科学大学 情報・知能工学系) 岡田美智男(豊橋技術科学大学 情報・知能工学系)

私たちは日頃から多くの遊びを行っている。こうした遊びは競争や協力といった他者との関係によって成り立っているものが多い。 このような共同的な遊びの場面において、人と人を繋ぐ媒介物としてロボットがその役割を担うことはできないだろうか。本研究では、こうした観点からメディエータとしての機能を有するロボット〈Column〉を提案、評価している。本発表では、研究用プラットフォーム〈Column〉の概要とそのインタラクションについて紹介する。

ペイントツールのインタフェースを用いた街並みのモデリングツールの開発

黒土 英太郎(和歌山大学 大学院)

本研究では,ゲーム開発における効率性の向上のために,ペインティングツールのインタフェースを用いて生成した曲線を道路として見立て,周囲に建物を生成することで町並みを容易にモデリングできるシステムの開発を行った.提案手法は,ユーザが対話的にモデリングを行いつつ,生成した建物を実際の町並みの特徴に合った位置に配置する.そのためにマウスをドラッグして得た点列を連結したものにメッシュを割り当てることにより道路として見立て,それにより区切られた領域内に乱数を用いて建物を初期配置する.そののち個々の建物を最も近い交差点まで拡大することにより,その領域を充てんする.

VR空間で全周から触覚刺激を提示する為の熱源の配置と検討

伊藤亘輝(東京工科大学大学院メディアサイエンス専攻) 羽田久一(東京工科大学)

昨今,VRを体験するユーザに触覚刺激を提示するウェアラブルデバイスの研究が盛んである. しかし,これらの研究はHMD以外のデバイスを装着する事で煩わしさが増加し,ユーザの体験を損なっている. そこで我々は熱と風による非接触型の触覚刺激に着目し,VRを体験するユーザが全周囲から刺激を得る為に必要な熱源の配置と個数を確認する実験を行った. 実験の結果,ユーザの周囲4箇所から非接触の刺激を提示する事で,全周囲への刺激の提示が可能であると判明した.

Code Weaver: ミクストリアリティを利用したタンジブルなプログラミング学習ツールの研究(2)

坂本 恋(立命館大) 大島 登志一(立命館大)

本研究は,児童がプログラミングを通して「プログラミング的思考」を身につけられることを目的とする.コンピュータに不慣れな者でも使用可能なように,プログラムコードを物理的な実体として扱えるシステムを開発した.ユーザは,机上にカードを並べることでプログラムを組み,実行結果を確認し,それを修正することができる.本稿では,プロトタイプシステムの展示実験の考察をもとに,プログラミングの学習モデルを整理し,それを踏まえたシステムの改良について論じる.

Voicelot: 音声入力をエントリーとした意思決定省力化システムの提案

真野 隼輔 (明治大学) 渡邊 恵太 (明治大学)

食事の内容や目的地を決める際に,じゃんけんやくじ,抽選アプリなど偶然にまかせることで公平に決めることができる.一方,あらかじめルール決めや選出基準を決めておく必要があるうえに,人数が多いと意思決定に時間がかかってしまう.そこで本研究では,音声入力を用いた抽選システムVoicelotを提案する.参加者は発声によりエントリーし,自動で抽選することで意思決定を素早く円滑に行うシステムである.

深層学習を用いたピクトグラム画像における多クラス分類問題とその応用

神田 剛志(青山学院大学)

ピクトグラムとは日本語で絵記号,図記号と呼ばれるグラフィックシンボルであり,意味するものの形状を使ってその意味概念を理解させる記号である.しかし国,文化,風習の違いから,しばしばピクトグラム単体での意味概念の理解は困難であり, これに対してはピクトグラムを文字等で情報補完する手法が有効と考えられる.そこで,本稿ではその基礎研究として, 深層学習を用いたピクトグラムに特化した分類器の作成と評価, またそれを用いたアプリケーションの提案を行う.評価の結果,深層学習によるピクトグラム分類器は, 学習データに各分類1枚のカラー画像を元に画像処理で拡張を行ったデータセットを用いても十分な正解率を得ることができた. また, 実際の使用を想定したアプリケーションの実装についても, 新たな知見を得ることができた.

どんぶり絵

土田 純平 (富山大学) 辻合 秀一 (富山大学)

市販の発泡スチロール製のどんぶり容器の内側に紙に自分で描いた絵や印刷した絵を貼りつけ装飾する。装飾し終わったどんぶり容器を明るい部屋の中で360度カメラを使い360度静止画を撮影する。撮影した360度静止画をプラネタリウムに投影したり、VRゴーグルを使って見たりすることができ、小さな子どもでも簡単に自分の作った作品をプラネタリウムやVRで楽しむことができることを想定した。

「あー」いえば「こー」いう! 人との共感的なインタラクションを生みだすロボット〈CULOT mini〉

板坂優人(豊橋技術科学大学 情報・知能工学系) 大島直樹(豊橋技術科学大学 エレクトロニクス先端融合研究所) 岡田美智男(豊橋技術科学大学 情報・知能工学系)

養育者からの語り掛けに乳幼児は「うんぐー」と応える。そこに明確な言葉のやりとりはないものの、相手の気持ちはなぜか伝わってくる。そこに社会的なつながりも感じる。これはどうしてなのだろう。本研究では、人とロボットとの原初的なコミュニケーション研究の一環として、ユーザーの感情状態を推測しながら共感的に呼応するロボット〈CULOT mini〉を構築してきた。本デモ発表では、そのコンセプトとそのインタラクションデザインについて紹介する。

モバイルピクトグラミングへの音声による自然文入力機能の実装

石井 幹大(青山学院大学大学院) 伊藤 一成(青山学院大学)

我々の研究グループでは,人型ピクトグラムを用いたコンテンツ作成環境「ピクトグラミング」と,そのスマートフォン版である「モバイルピクトグラミング」も開発・公開している.しかし,現状では,「モバイルピクトグラミング」では,ソフトウェアキーボードによる入力のみをサポートしており,入力インタフェースの改良が喫緊の課題であった.そこで,スマートフォンに標準でサポートされている音声入力機能を利用した入力方式を構築した.

ハンドヘルド高速プロジェクタを利用した大画面ディスプレイとの低遅延なインタラクション

吉川 太陽(東北大学) 鏡 慎吾(東北大学) 橋本 浩一(東北大学)

大画面ディスプレイとのインタラクション方法について様々な研究が行われている.ユーザエクスペリエンスを考慮すると大画面ディスプレイは低遅延で動作することが求められるが,コストの問題があり難しい.本稿ではハンドヘルド高速プロジェクタで大画面ディスプレイの上に映像を重畳し,操作対象周辺部のみを高速で更新する低コストかつ低遅延なインタラクションを提案する.

ブレインツリー: 頭部での植物の成長を表現する触覚インタフェース

平野 祐也(明治大学) 竹永 正輝(明治大学) 西川 尚志(明治大学) 丸山 寛人(明治大学) 浅野 日登美(明治大学) 椎名 星歩(明治大学) 千葉 麻由(明治大学) 武田 雄太(明治大学) 渡邊 真輝(明治大学) 橋本 直(明治大学)

漫画や落語などに登場する表現の一つとして,人間の体内に植物が寄生するというものがある.しかしそれらは,経験したことのない我々にとって理解しがたい描写となっている.そこで我々は頭に植物が生えた感覚を体験可能なコンテンツとして,ブレインツリーを制作した.本システムでは,ヘッドマッサージャによる触覚提示と頭部に根が侵食している映像の提示によって植物の侵食を表現する.また,振動と重心移動による植物の動きの表現や,冷温感提示による液体の流動の表現も行う.

片手持ちVRコントローラのための日本語入力UIの提案

竹永 正輝 (明治大学) 橋本 直 (明治大学)

VRアプリケーション用の日本語文字入力UIについて提案する.提案手法では,ジャイロセンサとタッチパッドを搭載した片手持ちコントローラを使用する.入力方式として,ポインティングとフリック入力を組み合わせた方法,ポインティングと手首の回旋を組み合わせた方法,円状に並べられたキーをタッチパッドで入力する方法の3種類を提案する.提案手法について入力時間と文字入力精度を評価した結果について報告する.

スポーツ連続写真の等身大可視化

武藤 駿嗣(芝浦工業大学) 新野 大輔(芝浦工業大学) 井尻 敬 (芝浦工業大学)

競技者の一連の動作を一枚の画像に合成する連続写真はスポーツシーンの可視化に広く利用されている.しかし,一般的に連続写真はモニタ上や紙上で可視化されるため,現実世界におけるスケールを認識し難いという課題がある.そこで本研究では,Mixed Reality(MR)技術を活用し,現実世界に連続写真を配置・可視化する手法を提案する.カメラシースルー型のHead Mount Displayを用いて,競技者の動作を観察・撮影し,撮影された連続写真から競技者のみを切り抜き,これらを平面上のビルボードとしてMR空間に配置する.提案法の有用性を確認するため,複数スポーツにおける連続写真の可視化を行った.

変形により入出力が可能なゲームコントローラのユーザビリティ改善

福永 健竜(東京工科大学) 石河 竜太(東京工科大学) 井上 亮文(東京工科大学)

ゲームアイテムと同じ形状をした専用コントローラは,プレイヤーとゲームキャラクターとの一体感を高めることができるが,ゲームアイテム数の増加やゲームアイテムの状態変化に対応することができない. 我々が開発してきた変形型ゲームコントローラ ``SHAPIO’' は,利用したいゲームアイテムの形状に変形させることで,そのアイテムの専用コントローラとして機能する. また,故障などでゲームアイテムの形状が変化した際は,プレイヤーがもつSHAPIOの形状も同じように変形する. 現実世界のコントローラの形状と,仮想世界のアイテムの形状とが常に一致することで,プレイヤーはこれまでよりも高い一体感を感じることができる. 本論文では,SHAPIOを介してゲームへの入力をする際にプレイヤーが手動で行ってきた変形操作を,プレイヤーの音声コマンドによって自動化する. プレイヤーは短時間かつ確実にSHAPIOを目的の形状に変更できるため,プレイヤーはゲームそのものに集中できるようになり,一体感のさらなる向上が期待される. 比較評価実験の結果,SHAPIOを複雑な形状に変形する際の没入感が向上したことが確認できた.

アナログ無線通信を利用した鬼ごっこのためのウェアラブルデバイス

赤池龍成 (首都大学東京)

アナログ遊びに対しデジタル要素を追加し,ルールを拡張するものが増えている.鬼ごっこに注目し,ライフポイントをアナログ無線通信を利用することで導入できると考え,ウェアラブルデバイスを作成した.

2Dスケルタルアニメーションからの作画風モーションの生成

宮宗 顯 (立命館大学) 藤田 宜久(立命館大学) 仲田 晋(立命館大学)

手描きのイラストの各パーツに動きを定義するスケルタルアニメーションの技術はモバイル向けのゲームで広く使われている.本研究はこのスケルタルアニメーションで定義された動きから作画風のモーションを自動生成する技術を開発する.作画風のモーションとは本研究では日本の典型的な作画アニメの動きを想定し,分析結果に基づいた動きを数式モデルとして記述することにより作画アニメらしい動きの生成を目指す.

レッテルを用いた雑談向けチャットボット「Lamb」の提案

杉本 隼斗(中京大学) 中山 裕貴(中京大学) 渡邉 一樹(中京大学) 中園 歩(中京大学) 濱川 礼(中京大学)

本研究では、レッテルを冗談として表現する事で、ユーザの退屈感を軽減させる雑談向けチャットボット「Lamb(Labeling Amusement Bot)」を開発した。レッテルとは、ある人や物事をなんらかの一言・名称で言い表した名詞である。「Lamb」はユーザの入力に対し、深層学習を用いた応答文と、単語の分散表現を用いてレッテルを生成する。生成したレッテルの攻撃度と、ユーザとの親密度からレッテルが冗談となるか判定し、判定されたレッテルと応答文を組み合わせ発話する事で、退屈感の軽減を試みた。

単語の構成文字に対する人間の認知特性に着目したアナログゲームデザイン

荒俣 蓮(札幌市立大学大学院) 三上 拓哉(札幌市立大学大学院) 藤木 淳(札幌市立大学大学院)

ある条件下において、文章中に含まれる単語の最初と最後の文字さえ正しければ、その文章を読むことが可能になるというタイポグリセミア現象が知られている。このように人間は単語に含まれる文字が正確でなくてもヒントを手掛かりに元の単語をある程度連想可能である。本研究では、このような人間の文字に対する認知特性に着目したゲームロジックをデザインした。

初学者のタイピング習得支援に向けた物理キーボードインタラクションの開発

園 智佳子(福井大学) 長谷川 達人(福井大学)

本研究では,物理キーボードにプロジェクションマッピングを行うことで,初学者のタイピング習得を支援するインタラクションを開発する.タイピング習得時において,キーボードのキー配置を記憶することは初学者が真っ先につまずく課題である.本システムではタイピング練習アプリに,次に打つべきキーを点灯させキーの配置を知らせる演出や,正しい文字を入力すると効果映像が流れる演出等を付与する.演出によりキー配置の記憶を補助すること,初学者でもタイピングが楽しく行えるようにする効果を期待している.

情報とダメージの駆け引きを基軸とするゲームシステムデザイン

前田 風歌(札幌市立大学) 三上 拓哉(札幌市立大学) 藤木 淳(札幌市立大学)

本研究では、情報とダメージの駆け引きを基軸とするゲームシステムを提案する。ゲーム内のプレイヤーは情報が表示される度にダメージを受けるが、ユーザはその情報を部分的に聞かない(正常に表示させない)ことでダメージを受けない。これにより必要な情報を取捨選択することがプレイヤーに要求させるシステムである。

たねでぃ:抽象的なテーマを元に具体的なエピソードを想起させるアイデア創出支援ツール

北村章真(日本総合ビジネス専門学校) 石郷祐介(日本総合ビジネス専門学校) 市野 昌宏(日本総合ビジネス専門学校) 市川 大佑(日本総合ビジネス専門学校)

モノづくりを行う際に、自らが経験した過去のエピソードを思い出し、提示されたテーマ(単語・文章)と結びつけて、アイデアを発想することがある。しかし、テーマが抽象的な場合において、過去のエピソードと結びつけづらく、想起できない場合がある。 本研究は、アイデア発想者に対して、テーマに関連する質問を行い、エピソードの想起を促すためのツール「たねでぃ」を提案する。

姿勢検出法を活用したスポーツ反復練習のためのスマートミラーシステム

新野 大輔 (芝浦工業大学) 井尻 敬 (芝浦工業大学)

本研究では,スポーツにおける反復練習の様子を可視化することを目的としたスマートミラーシステムを提案する.提案システムは,webカメラ・高速度カメラ・プロジェクタより構成され,webカメラにてユーザを撮影しその映像や姿勢をプロジェクタによりリアルタイムに提示する.さらに提案システムは,ユーザが指定した姿勢を検出することで,反復練習の重要部分のみを高速度撮影し,後からスロー再生できる枠組みを提供する.提案システムはカメラ・プロジェクタシステムではあるものの,実際の鏡と似た感覚で練習に利用でき,かつ,現実の鏡では実現できないスロー再生や姿勢確認が行なえる.提案システムの姿勢検出法の精度を評価するため,4名の実験協力者による評価実験を行った.結果,提案システムは,実験協力者の素振り動作全131回のうち91.6%を正しく検出することができ,練習支援目的として十分な精度が得られることを確認した.また,提案システムの有用性を確認するためにユーザスタディを行い,そのユーザビリティについて調査した.

エンタテインメントコンテンツのラベル付きデータとしての活用可能性

田中 一星(立命館大学) 井本 桂右(立命館大学) 山西 良典(立命館大学) 山下 洋一(立命館大学)

ウェブ上には様々なマルチメディアで構成されたユーザ参加型のエンタテインメントコンテンツが存在している.これらのエンタテインメントコンテンツからは,統制された条件に従った映像や音声を取得できる.本稿では,このうちエンタテインメントコンテンツから取得可能な音声データの活用に焦点をあてた.音声の感情認識などではラベル付き音声データを学習することで統計的機械学習モデルを構築する必要があるが,多数話者による大量の音声データを準備することは難しい.本稿では,「じゃがりこ演技力面接」の音声から抽出した特徴量を基にt-SNE法によって各ラベル間の関係を2次元空間に可視化し,エンタテインメントコンテンツ内の音声を研究用のラベル付き音声データとして応用可能であるか考察した.

アクチュエータ内蔵筆型デバイスを用いた書道学習システムの試作

外里 有蘭 (八戸工業高等専門学校) 佐藤 健 (八戸工業高等専門学校) 松山 克胤 (岩手大学) 中安翌 (神戸芸術工科大学大学院) 細川 靖 (八戸工業高等専門学校)

書写学習には多くの道具を使用する.また,作品の乾燥スペースや道具のメンテナンスを必要とする.書の表現に関する研究は,近年盛んに行われているが,装置が大きく,高価であるので手軽に行うことができない.そこで先行研究として仮想書写学習システム「筆veat」が試作された.本研究ではこの「筆veat」で使用する筆型デバイスの筆先にアクチュエータを内蔵し,曲がった筆先を真っすぐに戻す筆の試作をした.これにより筆型デバイスの操作性を向上した.

ライド型VRコンテンツを用いた視覚刺激の変化による体験への影響に関する研究

沼崎 優介(東京工科大学) 兼松 祥央(東京工科大学) 遠藤 雅伸(東京工芸大学) 近藤 邦雄(東京工科大学) 三上 浩司(東京工科大学)

エンターテイメントコンテンツにおいて安全が確保されていることは重要である.VRコンテンツにおいてもVR酔い対策や体験者の安全な機器の範囲設置の確保がある.本研究では体性感覚刺激を視覚からの情報によって変化させられるという仮説を立てた.体験中に視覚提示する傾き量を実際の傾きよりも増減できる舟型システムを用いて実験を行った.結果として視覚から与える傾き量を増減させても違和感なく感じることが示唆された.これらの知見を活用することで,安全を担保しつつ実際よりも小さい傾きを与えても楽しめるエンターテイメントコンテンツの開発に寄与できると考えられる.

電子漫画の拡張表現

小玉 亮 (九州大学大学院)

スマートフォンが普及した現代社会に於いて、電子漫画はより身近な読み物として浸透している。しかしその多くは、紙媒体向けに制作された漫画を、ただ画面上に表示しているだけのことが多く、電子媒体の機能を十分に活かしているとは言い難い。本制作では、漫画のコマの中にパーティクルシステムやライティングを用いることで、静止画の連続によるアニメーションとは別な動的表現を、電子漫画に適用する可能性を提示するものである。

立位体験型海女仮想体験システムにおけるアバタ水中姿勢推測と適用

東山 聖生(八戸工業高等専門学校) 細川 靖(八戸工業高等専門学校) 佐藤 健(八戸工業高等専門学校) 土井 章男(岩手県立大学) 髙田 豊雄(岩手県立大学)

我々は海女の潜水文化の継承を目的とした海女仮想体験システム「海女via-WHB」を開発した。「海女via-WHB」はウェアラブルセンサを用いて体験者の腕動作をトラッキングし、仮想空間内アバタに適用することができるシステムである。しかし、腕以外の部分に関しては対応するモーションが存在せず、アバタ姿勢の不自然さが課題となっていた。そこで、本研究ではアバタの水中での仰俯角と移動速度に基づいて自然な姿勢の推測と適用を行う「海女via-WHC」を試作し、水中姿勢の不自然さを改善した。

VRカードゲームのための実カード型インタフェースの提案

海野 貴智(明治大学) 橋本直(明治大学)

本研究では,ヘッドマウントディスプレイを使用したVR環境においてカードゲームをプレイするためのインタフェースを提案する.提案手法では,トラッキング用のパターンを印刷した実カードをVR空間のカードと同期させ,対戦におけるカードの授受をテーブルを介して行うようにインタラクションを設計する.これにより,カードゲームの醍醐味であるカードを触って動かす操作やカードの受け渡し操作を現実と同様に行うことができる.本論文では,提案手法をババ抜きに適用した結果について報告する.

MR環境における擬似接触音の音量が触感に及ぼす影響

植井 康介(早稲田大学) 飯田 隆太郎(早稲田大学) 中島 武三志(東京工芸大学) 菅野 由弘(早稲田大学)

VR・MR環境において,触覚呈示デバイスを装着せず視覚刺激による錯覚により触覚を呈示する手法が注目されている. 筆者らが行った研究では,触覚を受容する体験において共起性の高いモダリティの一つである聴覚刺激に着目し,仮想キューブを左右の手のひらで転がす動作について,接触音を付加したほうが擬似的な触感が上がることが示された. 本稿では呈示する音量に着目し,音量を変化させることでどの程度触感の大きさが変化するか検証を行った.

組み込み技術向けのRPG型教育ツール

中川 瑞喜 (金沢大学) 秋田 純一 (金沢大学)

組み込み技術の入門やシステムの高速なプロトタイピングツールとして電子工作用マイコンを使用することが増えており、技術者の導入教育や試作品製作の電子工作の役割は大きいと言える。しかし、人によっては電子工作に触れる機会が殆どなかったり、半田ごての危険性から敬遠される傾向にある。本研究では、電子工作に触れる機会の提供と安全な電子工作教育を目的とした教育ツール(ゲーム)を製作し、その評価を行なった。

水平方向運動感覚のための力覚提示

仮屋郷佑(東京大学工学部) 佐々木 智也(東京大学大学院 工学系研科) 檜山 敦(東京大学 先端科学技術センター) 稲見 昌彦(東京大学 先端科学技術センター)

本研究では、VR空間内で空中を移動するコンテンツにおいて水平方向へ移動する場合の運動感覚の提示手法を提案する。空間内の水平方向の二点間の移動を並進運動と回転運動の組み合わせと仮定し、各条件における運動感覚の提示に関して、力覚提示手法を中心に検討する。本稿では、飛行時に体験者の手にかかる力に着目し、そこから提示する力覚を決定する方法デバイスを用いた提案手法の実装について示す。

柔軟性を持つ温度感覚提示デバイスを用いたファイアボール発射体験

鄭 文韜 (大阪大学) 華 俊杰 (大阪大学) 沈 靖程 (大阪大学) 安藤 英由樹 (大阪大学)

従来の手に温度感覚を提示するデバイスは柔軟性がないため、手の動きに応じて変形して手のひらから指まで温度感覚が提示できない。そこで、ステンレス剛メッシュ手袋といった熱拡散を伴う柔らかい金属の手袋を用意し,複数の小型ペルチェ素子を粗の分布で貼り付けることにより,柔軟性を保ちながら温度提示を行う手袋型デバイスを提案する.そして, エンタテインメント応用としてユーザーに魔法使いのチャクラの流れ(手のひらが感じる温度変化)に応じて強力なファイアボールを発射する、といった今までにない温度感覚で遊べる体験を提供するデバイスを実現する。

センサ及びマイクを用いた偏咀嚼防止システムのフィードバック手法の検討

正月 凌介 (神戸大学)

片側ばかりで噛んでしまう「偏咀嚼」を防止するシステムを構築するために、偏咀嚼防止システムのフィードバック手法として食事中に最適であるものを検討する。フィードバック手法として音フィードバック、音声フィードバック、視覚フィードバックの3つの手法でユーザに評価実験を行い、偏咀嚼防止を期待できるフィードバック手法であったかを確認し、ユーザからの意見調査を行った。

偶然の遊びにおける操作量が エンタテインメント性に及ぼす影響の調査

茂原 敦之(京都産業大学大学院) 寺崎 天智(京都産業大学) 水口 充(京都産業大学大学院)

操作量がエンタテイメント性に及ぼす影響について実験を行った。リールが3つあるスロットマシンにおいて、(1)ボタンを押すと全リールが回転し一定時間経つと自動的に全リールが同時に停止、(2)ボタンを押すと全リールが回転し、左から順番に各リールがスペースキーを押す度に停止、(3)リール毎にボタンを押すと回転し、もう一度ボタンを押すと停止、の3パタンの操作量を設定した。この結果、操作量はエンタテインメント性の向上に寄与する一方で、操作量が多すぎると煩雑さが上回ることが確認できた。

歩行促進のための足首装着型発電デバイス

杉本実夏(筑波大学) 岩田洋夫(筑波大学) 五十嵐浩也(筑波大学)

本研究では健康のために歩行モチベーションを向上させ、よりユーザーが歩きたくなる仕組み作りを目指している。そこで、歩行動作に合わせて電力を発電する足首装着型発電デバイスの開発と、その発電デバイスによって発電された電力を使用して駆動する歩行モチベーション向上を試みるアプリケーション制作を行っている。本発表では、開発した足首装着型発電デバイスとその発電量計測結果を報告する。

装着型靴底傾斜角度制御インタフェースの開発と歩行誘導への応用

若野 達哉 (京都産業大学) 永谷 直久 (京都産業大学)

歩行誘導装置の研究として,これまでに靴底内部にアクチュエータを配した傾斜提示装置の開発などが行われてきたが,使用できるユーザの足のサイズが限定的であり,傾斜角度と歩行軌跡への影響に関する定量的な評価も行われていなかった. 本研究では,様々な靴に対して適応可能な装着型の傾斜提示装置機構の提案を行う.さらに,提案手法を用いて,歩行中にロール角で最大10度までの任意の傾斜を提示可能な装置を製作し,評価実験として提示傾斜角度に対する歩行軌跡の時間変化の評価を行った.

未熟者セーラーのトレーニングシステムの検討

山岡 悠 (大阪大学) 大河内 康平 (大阪大学) Lee Sangwon (大阪大学) 安藤 英由樹 (大阪大学)

セーリング競技は海上で行う為,常に生命的危険を伴う.急激な気候変化に対して,乗り手の技量が見合わない場合,大きな事故を起こしたり,時には命を失う事もある.従って風や波が大きくなれば,初心者は安全面の観点から海に出艇する事すら禁じられてしまうケースが多い.しかし強風で練習を行わなければ,強風下での上達は見込めないという安全と練習効率にジレンマが発生している.そこで強風下での練習をデジタルに再現する事で,ユーザが安全に疑似的な強風下での練習を行えるデバイスを構築し,検討を行う.

全世代をSNSに参加可能にするコミニケーションアシスタント

野口大輝(東京電機大学) 岩井将行(東京電機大学)

近年TwiiterなどのSNSは広がりを見せるが高齢者や若年層などスマートフォンやPCを保有しないユーザーには情報が共有されない事態が発生している。 そこで我々はQRコード、レシートプリンター、Felicaなどを用いたSNS参加型の物理デバイスを内蔵したコミニケーションアシスタント提案する。 スマホなどのクライアントの機能を物理デバイスに置き換えることで、でも直感的な操作で気軽にTwiiterなどのSNSに参加できるデバイスとして、QRコードやあらかじめ用意したFelica cardを用いることで「いいね」や「引用ツイート」などの返信を手軽に行うこと可能にする。

Emotion Movement Design Annotator による感動デザインの分析 - M. Rigolo のバランス芸を例として-

片寄 晴弘(関西学院大学) 橋田 光代(相愛大学) 飯野 なみ(産業技術総合研究所,理化学研究所,総合研究大学院大学 )

認知的音楽理論,特に,緊張-弛緩構造の分析・記述に関連して提案・議論されてきた Meyerによる音楽の意味理論,IRM, GTTM を規範として,時系列パフォーマンスの心の動きの記号化・分析するための枠組み Emotion Movement Design Annotator を提案する.この枠組みに従って,M. Rigolo のバランス芸を分析し,この作品に込められた感動のデザインを可視化し,時系列パフォーマンスの心の動きのデザインに関する議論を実施する.

手指による布の伸縮操作のためのCG布表現の検討

安部 雄市(宇都宮大学) 森 博志(宇都宮大学) 外山 史(宇都宮大学)

手指によって布を伸縮させる行為は,布の質感を確認する際に見られる動作の一つである.伸縮操作により生じる布のひだやたるみなどを確認することにより,われわれは視覚的に布の質感を確認していると考えられる.そこで本研究では,この手指による布の伸縮操作に着目し,人の手の動きに応じた適切な形状変形を伴うCG布の表現手法について検討する.布シミュレーションモデルと形状スキャンデータを組み合わせることで,手指操作に応じたCG布の形状を構成する手法を提案し,その結果を示す.

鉄道車両の振動を記録、再現する触覚提示システム

山口 大洋(首都大学東京) 馬場 哲晃(首都大学東京)

鉄道趣味の世界で親しまれている車窓動画は,実際に乗車しているかのような臨場感が魅力の一つである.しかし一般的な車窓動画の視聴時は,実際の乗車中に発生するような車両の揺れや振動を体感しない.そこで触覚提示により,更なる臨場感の向上が可能になると考えた.本稿では実際に列車に乗りながら記録したデータから振動を再現し,視覚と聴覚に加え触覚を提示することでコンテンツ体験時の臨場感を向上させるシステムの提案を行う.

AugmenteDoor:扉を開ける動作のメタファに基づく映像提示システム

粟津 実夢(金沢大学) 相田 美遙(金沢大学) 井上 周(金沢大学) 秋田 純一(金沢大学)

「扉を開ける」という行為には、単に移動するのみならず、扉の向こうにある未知の世界に対しての高揚感や期待感が含まれている。本研究では、そのような高揚感や期待感を再現するために、ドアノ ブ型デバイスとARシステムを用いたインタラクティブなシステムArugumenteDoorを提案する。本システムは、ドアノブ型デバイスを対象物に取り付け、扉を開くようにドアノブを引くことで、その対象物にあわせた映像コンテンツをユーザに提示する。またドアノブを引く速度などの動作に応じても映像コンテンツが変化する。これにより、「扉を開ける」という行為に伴う体験をより充実したものとすることができる。

キミにとどけ!想いをカラダにのせて語ろうとするロボット〈Lumos〉

巽将司(豊橋技術科学大学 情報・知能工学系) 大島直樹(豊橋技術科学大学 エレクトロニクス先端融合研究所) 岡田美智男(豊橋技術科学大学 情報・知能工学系)

私たちのコミュニケーションは言語に支えられている.言語を用いると,意味が一意に定まり効率がよい.それと引き換えに,自由な解釈ができなくなり,一方的に感じる.一方,身体を使って想いを伝えようとするコミュニケーションを考えると,それぞれの内なる意味がその身体を通して表出されるため,お互いに意味を探りあうことが楽しみにつながる.この身体動作による不定さはコミュニケーションを長続きさせるコツにもなるだろう.本稿では,言葉を使わずに身体を揺らしたり,前傾姿勢になったり,身体的表出を伴って想いを語ろうとするロボット〈Lumos〉について紹介する.

エンタテインメントコンピューティングにおける心の動かし方に関する一考察 〜「恐怖の哲学」を題材に〜

水口 充(京都産業大学大学院)

エンタテインメント性は心の動きによって産み出されるが,詳細な仕組みや方法論についてはまだ議論が深まっていない.本稿では戸田山和久氏による「恐怖の哲学」および同著に関する議論を紹介し,エンタテインメントとしての心の動きについて考察を深める.

重心可変機構による連続的重量変化の提示を取り入れたゲーム開発

木村 尚斗(東北学院大学) 鈴木 裕也(東北学院大学) 船藏 優弥(東北学院大学) 鈴木 航平(東北学院大学) 佐瀬 一弥(東北学院大学)

VRでの力触覚提示技術において、デバイスに取り付けられた錘の移動によって慣性モーメントを変化させることで物体の形状変化を表現する研究がおこなわれているが、同様の原理で連続的に変化する重量感覚の提示も可能であると考えられる。本研究では、同原理を用いた片手把持型デバイスを作成し、バーチャル把持物体の重量変化を体感可能なゲームを開発する。試作したゲームにおいてデバイスの有効性評価、および、効果的な利用方法について議論する。

MoSE:Wekinatorを用いたモーションコントロールによるワンチップCPUギターエフェクタの開発

毛利 数馬(関西学院大学) 平野 砂峰旅(京都精華大学) 片寄 晴弘(関西学院大学)

ライブ演奏においてギタリストの多くがエフェクタによる音色の操作を行うが、通常用いられるペダルやノブでの操作では視覚的な演出が制限されるという課題がある。本研究ではステージでの視覚的な演出を考慮し、ジェスチャによりエフェクトの切り替えやパラメータ制御を行う機構を構成する。ライブ演奏用途においては、ミュージシャンの思考の妨げとならないUIの提供と時間的に厳格なジェスチャ認識が求められる。ジェスチャの予備動作への着目、wekinatorの利用によって、これらの課題の解決に当たる。

VRによる90年代渋谷系の再現手法

望月聡司(名古屋市立大学大学院芸術工学研究科中川隆研究室)

1990年代に流行した渋谷系音楽は音楽シーンだけでなく多方面に多大な影響を及ぼした。一方、アーカイヴ手法の一種にヴァーチャルミュージアムがあるが、昨今のVR技術の進展は、アーカイヴ空間への没入体験の可能性を拡げている。本制作は、渋谷系の特徴として指摘されている「“過去の文化情報”を編集的に組み合わせた産物」という点に着目し、この特徴をVRによるヴァーチャルミュージアム体験として再編集し再現する試みである。

複合感覚によるリアルタイム味覚変容デバイスの開発

白須椋介(東京工科大学大学院メディアサイエンス専攻) 羽田久一(東京工科大学)

人々がモノを食べるときに感じる味は非常に複雑で,味覚以外の感覚によってもさまざまな影響を受ける. 本研究ではその中でも視覚と嗅覚に着目し,砂糖ベースで味をつけたかき氷を用いて実験を行なった. 視覚面では,LEDを容器にとり付け着色料を再現し,嗅覚面では,スプーンから香りの出る仕組みを用いることで香料を再現する. これらを任意に制御することで,リアルタイムに複数の味を体験できる味覚変容デバイスを開発した.

接触面の空気圧制御によるペン型摩擦力提示インタフェースの開発

瀬尾和也(京都産業大学) 永谷直久(京都産業大学) 北村武也(京都産業大学)

タッチディスプレイへの入力時に,幅広いレンジの力覚をユーザに提示可能なインタフェースとして,我々は接触面の空気圧を制御することによる摩擦力制御手法を提案してきた. 本研究では,提案手法をペン型のデバイスに適用し,デバイス内に小型の電動ポンプを配した装置と接触面形状の設計開発を行った.また,接触面に負圧力または正圧力を発生させることで,これまでよりも小型の電動ポンプを用いても十分な摩擦力の提示が可能であるかどうかを実験により評価した.

タブレット端末内蔵カメラによる踵上げ動作トレーニング支援

稲葉このみ(慶應義塾大学) 清野諭(東京都健康長寿医療センター研究所) 遠峰結衣(東京都健康長寿医療センター研究所) 杉浦裕太(慶應義塾大学)

健康寿命とは自立した状態で健康的な日常が送れる期間を指す.高齢化社会において健康寿命を延ばすことは重要であり,そのために様々な運動を行うことが推奨されている.本作品はその中から踵上げについて着目し,タブレット端末のみを用いて気軽に踵上げの回数を計測できるようにしたアプリケーションである.端末のカメラ画像を用いてユーザの顔の動きを検出する.そしてその結果を画面表示しユーザにフィードバックを返す.また,踵上げ以外の動作による誤カウントを防止するため,ユーザの顔の動きの時系列データを用いて機械学習を行うことで運動の種類推定を行う.

音源分離を用いた持ち寄りAndroid端末による3Dモデルライブ

杉田 陽亮 (電気通信大学) 荒生 太一 (電気通信大学) 成見 哲 (電気通信大学)

混合音源から各楽器音源を取り出す複数音源分離技術は、コンピュータの性能向上によって性能的にも速度的にもある程度満足出来るレベルに達してきている。ここでは日々性能向上しているスマートフォンのGPU機能を活用することにより、音源分離処理をAndroid端末上で行う。モバイルであることを生かしたデモとして、それぞれの楽器に合わせて3Dキャラが動くことで、好きな音楽のライブをその場で再現するシステムを提案する。

FPGAを用いた持ち運び可能なタイルドディスプレイ

白井 暁(電気通信大学) 前田 諒磨(電気通信大学) 成見 哲(電気通信大学)

本研究では持ち運べるタイルドディスプレイの開発を行った.タブレットのようなモバイルデバイスを複数集めて大画面を構成する技術は存在するが,ネットワークを利用するとディスプレイ間の同期が完全には取れないという問題がある.本システムではFPGAを用いてYCbCr空間での映像データに対応することでデータ量の削減を行い,分解して持ち運べる構造ながら高解像度かつ大画面のタイルドディスプレイを実現する.

みんなで散歩する〈ゴミ箱ロボット〉のインタラクションデザイン

植野 慎介 (豊橋技術科学大学 情報・知能工学系) 濵 耕輔 (豊橋技術科学大学 情報・知能工学系) 川合 喜己 (豊橋技術科学大学 情報・知能工学系) 長谷川 孔明 (豊橋技術科学大学 情報・知能工学系) 岡田 美智男 (豊橋技術科学大学 情報・知能工学系)

群移動ロボットが社会性を持ったらどうなるだろうか?出会った人に挨拶したり、人を追いかけて群れから離れ離れになってしまったり、はぐれたロボットを探して互いに呼び合ったり。様子を見ていた人が思わずついて行きたくなったり、迷子のロボットを群れまで送り届けてくれるかもしれない。本発表では複数の〈ゴミ箱ロボット〉が散歩する場面において、ロボット同士、そしてロボットと周囲の人とのインタラクションデザインについて紹介する。

非対称性インタフェースにおけるユーザの視線共有

篠﨑由貴(慶應義塾大学) 塩田智生(慶應義塾大学) 久能若葉(慶應義塾大学) 杉浦裕太(慶應義塾大学)

VR空間に一人称視点で没入する没入型インタフェースとその空間をディスプレイ上で俯瞰するインタフェースという異なる2つのインタフェースを組み合わせたシステムは,エンタテインメント分野においても着目されている.このようなインタフェースは互いに視点が異なるため,相手への視覚情報の提示方法が重要となる.本研究では,非対称性インタフェースを持つシステムに,VR空間内のユーザとVR空間外のユーザそれぞれの視線情報の可視化を行い相手に共有する機能の実装を行った.

モバイル端末を用いた手根管症候群患者スクリーニングアプリケーション

鳥海まどか(慶應義塾大学) 渡辺拓郎(慶應義塾大学) 藤田浩二(東京医科歯科大学) 杉浦裕太(慶應義塾大学)

手根管症候群は,手指の痺れや母指の運動機能障害を引き起こす疾患である.母指の運動機能に障害が生じた場合,ペンや箸を握る,服のボタンをかけるといった日常生活に不可欠な動作に支障をきたす.本研究ではスマートフォンを用いたゲームアプリケーションを開発し,ゲーム中の親指の動きから手根管症候群のスクリーニングを行うシステムを実装した.また,本システムを用いて実際に手根管症候群患者と健常者の分類精度評価実験を行った.

パラメトリックスピーカを用いた砂の造形物に対する音像生成

太田 圭祐 (関西学院大学) 井村 誠孝 (関西学院大学)

砂遊びで様々な物体を造形することによって,創造性の発達などの効果があることが広く知られている. 通常, 砂遊びは触覚と視覚情報を介して印象を得るが, 聴覚情報を付加することで得られる印象の方向性を拡大することができる. 本研究では,高い指向性を持つパラメトリックスピーカを用いて,砂の造形物に対して音を照射することで,あたかも砂の造形物が音を発しているかのように感じさせるシステムを構築する.

機械学習のためのゲーミフィケーションを活用したデータ取得事例

松倉 聖憲 (関西学院大学) 井村 誠孝 (関西学院大学)

機械学習を行う際には精度を向上させるために学習用データが十分多く必要である。本発表ではゲームコンテンツを作成し一般に公開して展示することで、データ取得を効率よく実施した事例について報告する。ジェスチャ動作を入力とし、表現された物体を認識するネットワークの学習データセット取得のためにコンテンツの展示を行った。全てのデータを利用して学習を行った結果73%という低い識別精度であったが、推測されるユーザーの行動に基づいてデータの選別を行うことで99%の識別精度を得た。

発話音声の聞き取りやすさ向上のための音声特徴量解析

佐賀 圭真 (関西学院大学) 井村 誠孝 (関西学院大学)

動画配信などで,一般人が自身の音声を多数の人間に届ける機会が増えている.しかし,話者の声が聞き取りにくいと,聴者は何をしゃべっているのかに集中して聞く必要があり, 話者の魅力が損なわれてしまう.本研究では, 発話された音声の特徴量と人の評価する聞き取りやすさに着目し,音声の聴き取りやすさを向上するシステムの構築を行う.本発表では,音声特徴量と聞き取りやすさの評価との間の関係性を調査した結果について報告する.

高齢者の身体活動の促進を 目的とした複合現実型ゲームを用いた社会的交流要素の効果検証

ルシアーノ サントス(京都大学)

複合現実型ゲームは、現実の世界の要素をゲームの世界に取り入れることで、ユーザに対して身体活動を促すことができる。本稿では、複合現実型ゲームのデザイン要素の1つである社会的交流要素による高齢者の身体活動促進への影響を評価する。評価のため、社会的交流要素があるゲームを介入群に利用してもらい、社会的交流要素のないゲームを対照群に利用してもらった。結果として、介入群の身体活動がより促進されたことが観察され、社会的交流要素による身体活動促進への有効性が示唆された。

デジタルゲームにおける難易度と達成感の感じ方に関する研究

大塚 駿 (東京工芸大学) 遠藤雅伸 (東京工芸大学)

対戦相手のないデジタルゲームでは、コンテンツが与えた課題に成功することがプレイヤーの目標となる。我々は、より高い難易度の課題を成功させれば、より大きな達成感が得られるという検証を、実験用ゲームを実装して行った。その結果、成功までの試行回数が多い方が、大きな達成感が得られていた。しかし、プレイ技術が低いプレイヤーは、自分のプレイ技術が高いと誤認している場合、達成感が抑制されることが示唆された。

タブレット端末による小規模コミュニティ向け顔識別決済・小売りシステムの構築

音部 拓海(東京電機大学) 岩井 将行(東京電機大学)

小規模コミュニティの中での小売りシステムは,「オフィスグリコ」「オフィスオアシス」などとして企業の執務室や大学の研究室などで運用されている.一方で小額の小銭を出さなければいけない,スマートフォンの電池が無い状態では利用が出来ない,などの煩わしさが障壁となり,利用率は目標に満たない事例も発生している. 本研究では,購入時や決済時のユーザー体験を,顔識別などの技術を利用することで心地よく,またUI/UXの技術を用いて視覚的・聴覚的な体験にすることができると考えた. 我々の提案するLabomartはこれまでのシステムで必要だった「現金」「スマートフォン(QRコード決済)」を持つことなく,事前登録をした自分の顔を検知させることで紐づけられた口座から決済を行い,さらに新たなUI/UXを提案することでユーザに負担のない少額決済手法を提案する.

演奏者と楽曲に合わせて変形可能なソフトウェア鍵盤楽器による演奏支援の検討

金杉 季実果(明治大学) 宮下 芳明(明治大学)

楽器演奏において,身体の大きさや形状,動かしやすさは演奏者ごとに差が大きい.そのため,演奏しやすい楽器の形状は演奏者によって異なる.加えて,楽曲内で使用される音やその順番,演奏時の手や腕の動きは楽曲ごとに差が大きい.そのため,演奏しやすい楽器の形状は,演奏者の身体だけでなく楽曲によっても異なる.そこで本研究では,ピアノ演奏を対象に,演奏者の身体および演奏する楽曲に合わせたカスタマイズが可能なソフトウェア鍵盤楽器による演奏支援を検討する.各鍵の大きさを変更できる鍵盤楽器を2種類作成し,変形の仕方や練習の様子を観察した.

モーションキャプチャデータを用いたキャラクターアニメーション表現の支援ツールの開発

大田 裕右(和歌山大学)

本研究では,多くの手間がかかるキャラクターアニメーション制作の支援のため,モーションキャプチャから得られた動きのデータから必要なデータのみを残す制作支援ツールの検討を行った.人体の動作のデータからノイズ除去とエッジ検出を行い、アニメーション制作者にとって意味のある特徴点のみを抽出し、キャラクターアニメーションに適切なデータへの変換を行った。今後の課題としてはより厳密な抽出方法の検討、モーションキャプチャシステムと直接の連携などが考えられる。

あらゆる人がピアニストになれる楽曲演奏システム

藤原 佳生(九州大学)

楽曲を演奏する行為は魅力的だが、初心者にとっては技術面でのハードルが高い。そこで本研究では、演奏技能が不足している人でも簡単に楽曲を演奏できるシステムを提案する。本システムではMidiデータを用い、Midi鍵盤のどの鍵を押しても正しい音が鳴るようにし、ミスタッチや音の間違いを気にせず演奏できる。また、鍵盤を押す強さや同時に押した鍵盤の数を考慮することで、ユーザの意思を反映した、実際に楽器を演奏しているような体験ができる。

発達障害を持った子どもたちが楽しく効果的に学習できるゲーム

白石 大紀(九州大学大学院)

特別支援学級では発達障害を持った子どもの学力を向上させるため、様々な教材を用いて学習を行っている。しかし、子どもたちが集中して学習活動に取り組めない課題がある。そこで、ゲームの持つインタラクティブ性とエンターテイメント性を用いて楽しく効果的に勉強することのできるゲームを開発した。本発表では実際の教育現場で使用した際の教員の声についても発表を行う。

360度VR中継におけるARを用いた観客との音楽会場空間共有の試み

平林 真実(情報科学芸術大学院大学) 伏田 昌弘(情報科学芸術大学院大学)

これまで音楽会場からの360度VR中継により音楽体験の充実させる方法について探ってきた。本研究では、実会場の観客とネット上で360度中継を視聴している観客の相互の情報を、実会場ではAR的手法により、ネット視聴者はVR的手法により共有することで、相互の音楽体験を拡張する試みについて報告する。

眼鏡型計測端末を用いたゲームプレイにおける重要なシーン抽出手法の検討

藤原 優花 (明治大学) 南里 英幸 (明治大学) 山浦 祐明 (明治大学) 中村 聡史 (明治大学)

e-Sportsの技術向上において,ゲームプレイの振り返りが重要である.しかし,一般にプレイ時間は短くなく,プレイ動画の振り返りにも同等の時間が必要であり,振り返りは容易ではない.そこで我々は,プレイ動画の振り返りに要する時間を大幅に削減するため,ユーザの振る舞いからプレイ動画から重要なシーンを抽出する手法の検討を行う.本研究では特に眼鏡型計測端末を使用してゲームプレイしてもらい,初級者・中級者・上級者による重要シーンのデータセットを構築した.その結果,勝敗に集中度や落ち着きなどの値が影響することや,中級者と上級者の評価が一致するが,初級者の評価はぶれることが示唆された.また,重要シーン抽出方法について検討を行った.

World Wide Webのゲーム化とその効用

白井 良成(NTTコミュニケーション科学基礎研究所) 松田 昌史(NTTコミュニケーション科学基礎研究所) 藤田 早苗(NTTコミュニケーション科学基礎研究所) 小林 哲生(NTTコミュニケーション科学基礎研究所) 岸野 泰恵(NTTコミュニケーション科学基礎研究所)

膨大なコンテンツが存在し,多くの人が日常的に利用するWWWをフィールドにしたゲームを構築することで,WWW上のデータを利用したヒューマンコンピュテーション, Webサイトへのナビゲーション,Webコンテンツを利用した能力開発などが実現できる.一方,その構築においては,ゲームのWWW依存度,WWWの時空間特性,Webコンテンツの表示同一性などを考慮する必要がある.本論では,WWW上の文字列を擬人化してWebサイトを奪い合うゲーム,テキストモンスターを題材に,WWWをゲーム化する方法とその効用,課題について議論する.

ダンスゲーム譜面の特性分析とクラスタリングに基づく特徴的な譜面の自動生成

辻野 雄大(立命館大学大学院) 山西 良典(立命館大学) 山下 洋一(立命館大学) 井本 桂右(立命館大学)

ダンスゲーム譜面は,操作を要求される頻度,リズム構成の複雑さなど,複数の要素によって特徴づけられる.これらの要素によって,ダンスゲーム譜面の難しさおよび「面白さ」に影響する特性が形成される.この特性を客観的かつ多次元で表現する特徴量を提案する.提案した特徴量に基づいてk-means法によるクラスタリングを実施し,特性が類似した譜面のクラスタを得る.クラスタ毎に楽曲と譜面の関係を深層学習させることによって,クラスタの特性を備えた譜面の自動生成が可能となり,多様な「面白さ」に対応した特徴的な譜面の提供を実現した.

データ駆動型実世界計測におけるセンサ配置とデータ収集を支援するソフトウェアの開発

齋藤 彩音 (慶應義塾大学) 河合 航 (東京大学) 杉浦 裕太 (慶應義塾大学)

エンタテインメントシステムを構築する上で重要となる実世界センサデバイスは配置や個数,計測したい動作によって測定結果が変化することからセンサ配置を検討することが重要である.しかし,センサ配置の検討や実世界での学習データの蓄積には手間がかかる.本研究では,実世界センサの配置をデザインできるシミュレータを開発した.シミュレータ上で,Kinect を用いて記録した実世界の変形と自由に配置されたセンサとの距離を計測しジェスチャ識別器を生成した.その識別器を用いて実世界に配置したセンサでのジェスチャ識別をした.

単眼カメラを用いた握力計測に向けた基礎検討

松本 渚紗 (慶應義塾大学) 家永 直人 (慶應義塾大学) 藤田 浩二 (東京医科歯科大学) 杉浦 裕太 (慶應義塾大学)

握力は上肢筋力だけでなく身体の状況を簡便に評価する指標であり,定期的な計測は自身の健康状態を把握するために重要である.しかし握力の計測には専用の機器が必要であり,これは一般家庭に普及されていないため日常的に握力を計測することは難しい.そこで本研究では,単眼カメラを用いて柔軟なボールを把持しているときの空気圧を推定し,握力を計測できるか検討する.撮影された二次元画像から画像処理で手指関節角度を計測し,重回帰分析にてボールの空気圧を推定する.実験の結果,手指の関節角度とボールの空気圧およびボールの空気圧とかかる力にはそれぞれ相関があることがわかった.

加速度センサアレイが装着されたカバーによる柔軟物インタフェース構築手法

鈴木優里(慶應義塾大学) 加藤花歩(慶應義塾大学) 杉浦裕太(慶應義塾大学)

本研究では,日常生活に溶け込んでいる既存の柔軟物をインタフェースとすることを目的として,加速度センサアレイが装着されたカバーを開発した.このカバーは柔軟物に着脱可能で,柔軟物表面でのタッチジェスチャ推定を可能とする.

人間の可動域の制約を考慮したVR音楽ゲームの提案

住友聡馬(慶應義塾大学) 杉浦裕太(慶應義塾大学)

VRを利用したエンタテインメントとして音楽ゲームがある.これは健康増進の目的としても期待されている.現状のVR音楽ゲームではシステム側がユーザに特定の動作を要求するので,その要求された動作が困難なユーザにとっては不向きである.そこで本研究では人間の可動域に着目し,ゲーム性の変化無しにユーザ個人の腕の可動域に合った譜面を提供するVR音楽ゲームを開発した.譜面配置のインタフェースを球面にし,その半径や中心位置,使用範囲をカスタマイズできるようにすることで,腕の可動域を考慮した動作を要求する譜面を提供する.

スマートフォンの周辺におけるジェスチャ入力手法

加藤 花歩(慶應義塾大学) 松村 耕平(立命館大学) 杉浦 裕太(慶應義塾大学)

スマートフォンによるエンタテイメントが広く浸透してているが,その入力手法の多くはタッチパネルに依存していてる.本研究では,スマートフォンとのインタラクションを拡張する目的で,スマートフォンの周辺でのジェスチャ入力手法を提案し,それをエンタテインメントのための操作方法として活用することを考える.ジェスチャは端末側面に装着された測距センサアレイによって認識される.

ボタン表面上に設置した圧力センサによるゲーム入力の事前予測

宗形篤恭(慶應義塾大学) 杉浦裕太(慶應義塾大学)

本研究ではゲームコントローラのボタン上にかかる圧力を計測することで,未来のユーザ入力を予測する手法を提案する.本システムでは,ボタン表面に圧力センサを設置し,得られたセンサデータにシンプルなフィルタ処理を施すことで,入力の事前予測を可能にする.

音から生成した振動の時間・周波数特性は高次感性をどう変化させるか

〇阿部 翔太 (東北大学大学院 情報科学研究科) 山高 正烈(愛知工科大学) 坂本 修一(東北大学 電気通信研究所) 鈴木 陽一(東北大学 電気通信研究所) 行場 次郎(東北大学大学院 文学研究科)

我々は,臨場感と迫真性を高次感性の評価指標として用い,多感覚コンテンツにおいて音情報から 生成した全身振動情報が実測振動と同程度に高次感性を促進することを示した.しかし,音情報から生成 した振動のどのような成分が高次感性の促進に貢献しているかは未だ不明である.そこで本研究では,音 情報から生成した振動を包絡的な変動と搬送波的波形からなる振幅変調波形と見立て,その時間包絡と搬 送波周波数をパラメータとして振動情報を生成することで,音情報から生成した振動の物理的特性が高次 感性に与える影響を検討した.実験の結果,時間包絡特性は特に迫真性評価に影響を与えるのに対して, 搬送波周波数は臨場感,迫真性評価にあまり影響を与えないことが示された.ただし,時間包絡特性が直 接影響を及ぼすのではなく,それによって抽出される情報との関係が重要であることが示唆された.

〈ポケボー〉でGO! ボクの胸キュンはどこ?

岩崎克哉(豊橋技術科学大学 情報・知能工学系) 真弓凌輔(豊橋技術科学大学 情報・知能工学系) 長谷川孔明(豊橋技術科学大学 情報・知能工学系) 岡田美智男(豊橋技術科学大学 情報・知能工学系)

ポケットの中から顔を覗かせ,キョロキョロと周りを見渡す〈ポケボー〉.ユーザーが右を見れば,その視線を追うように〈ポケボー〉も右を向く.実はこの〈ポケボー〉は,意中の相手を探しているのだ.出会う人に自ら視線を合わせたり,好みの相手に対しては「もこー!」と声で反応したりする.〈ポケボー〉と一緒に街中を歩くことで,ユーザー自身もときめく相手が見つかるかも?本発表では,この〈ポケボー〉の概要やコンセプト,インタラクションデザインについて紹介する.

影絵を用いた半自動アニマルインスタンスの生成

日栄 航(大阪大学大学院) 目黒 僚(大阪大学大学院) 坂本 賢哉(大阪大学大学院) 高山 裕介(大阪大学大学院)

影絵とは、手などの体の一部に光を当て,その影をスクリーンに投射し動物や植物を表現するものである.幼い子どもにとっても気軽に楽しめる遊びであり,誰もが一度は体験したことがあるのではないだろうか.本企画ではカメラで撮影した画像を基に擬似的な影をスクリーンに映し、手が影絵を表現できた際には、予め動作がプログラムされた対応する動物シルエットのインスタンスを生成する.これにより,自分の影から動物が生まれ、意思を持って動き始めるというファンタジックな体験を可能にする.

時系列表現のデザインWGのねらいと活動状況

橋田光代(相愛大学)

「心の動き」は、その本質において、時間軸上における表現の意図や技法の追求が不可欠となる。時間軸上で定義される「心の動き」のデザインと受容の様相を、分野横断的に捉えていくべく、時系列表現ワーキンググループを立ち上げ、活動を開始した。表現・デザイン等作り手(演じ手)の視点、受容の視点、さらに、インタラクション場(環境)も含めた幅広い視点から議論していく場としての本WGの意図、活動状況について紹介する。

インタラクション映像に基づくバーチャルペットの動作構成

木幡 由紀(宇都宮大学) 森 博志(宇都宮大学) 外山 史(宇都宮大学)

CGで表現されたバーチャルペットと触れ合うコンテンツはエンタテイメント分野を中心に様々な応用が期待される.本研究では,人の合図に対して適切な反応を示すバーチャルペットの動作を構成するために,実際のインタラクション映像に基づき,人の合図に対するバーチャルペットの適切な動作を強化学習により獲得する手法を提案する.本稿ではバーチャル犬を対象として人のハンドサインに対する動作構成結果を示す.

ゲーミフィケーションによるコードリーディングの促進

岡 大貴(神戸大学) 西田 健志(神戸大学)

ソフトウェア開発において,他人の記述したコードを読解することは非常に重要である.プログラミング学習サイトや技術書の充実によりプログラミング学習自体のハードルは下がったものの,実践的なコードの読み書きへのステップアップを促す方法については課題が残されている.そこで本研究では,ゲーミフィケーションによってGitHub上に存在する豊富なソースコードを読むことを促すツールを提案する.

他者の信頼度を推測するプレイヤーAIの実装

中村 航 (北九州工業高等専門学校)

本研究で設計するゲームシステムにおけるプレイヤーAIは交流分析による定量化されたパーソナリティを持ち、これらの数値がゲーム上の行動に影響する。また、プレイヤータ同士は協力と敵対のいずれかを選択するために、相手のパーソナリティを把握する必要がある。 本研究では、プレイヤーAIが相手とのコミュニケーションを通してパーソナリティを推測し、自らにどの程度の利益をもたらすかを評価するシステムについて検討し、実装する。

多様な変身立体のための設計支援システム

仲口 健 (岩手県立大学大学院) 松田 浩一 (岩手県立大学大学院)

変身立体とは,鏡越しに見ると違う形に見える立体である.この立体は,二つの視点から見たときに別の形に見えるように設計されている.本稿では,ユーザがイメージする変身立体を,イメージした位置から見えるように設置できる設計支援システムを提案する.提案システムの特徴は,3次元モデルが生成でき,二つの視点を自由な位置と高さに設定でき,手描きで自由に形を指定できるところにある.本システムでは,(1)二つの視点と立体の位置の入力,(2)二つの形状を手描き入力,(3)二つの形状を用いた柱体の生成,(4)柱体の位置・大きさの調整,(5)二つの柱体の積集合を求める,という五つの手順で変身立体の設計を行う.

造形あそびとその制作物の電子メディアを通じた即時的な提示によるワークショップ

定國 伸吾(静岡理工科大学)

造形あそびと、その制作物のデータ化および電子メディアを活用した即時的な提示を組み合わせ、新たなワークショップ形態やツール開発について検討を進めている。本発表では、昨年度実施した文字造形あそびを活用したワークショップの報告と、本年度に実施する「スケール」の視覚化とそのインタラクティブな体験をテーマとしたワークショップの提案をおこなう。

チューブ状の繊維を使用した色変更が可能な布

十亀 雄太(東京工科大学) 羽田 久一(東京工科大学)

人々が服を直用する際,それに応じた目的や他人にどのように知覚されたいかを,意識的に選択をする.しかしながら一日の途中で服を変えることは難しく,ほとんどの場合着替える場所が必要であったり,着替えるための服を持ち歩かなければならないなどの手間がかかる.そこで本研究では,布を形成する繊維にチューブを使い,チューブ内に鮮明な色のインクを流すことによって明確に色を変化させることが可能な布の開発を行う.

RGB-D カメラを用いた投影面形状把握及び視点変化に対応した 映像投影技法の提案

神保守(和歌山大学)

本研究では,様々な環境でのプロジェクタの利用を可能とするために.投影面が疲弊面の 場合やプロジェクタ位置あるいは観測位置が任意の環境においてもそれらの環境の変化に動的に 追従して映像補正する手法を開発した.提案手法はカラー画像と深度画像が取得できる RGB-D カメラを用いて投影面の形状を測定し,同時に別のカメラで取得した映像から顔認識処理を用い て観測者の観測位置を求める.それらをワールド空間に配置して観覧位置から投影面に対して投 影マッピングを行った映像を生成し,それをプロジェクタから実際の投影面に投影する.

怪談話の「盛り上がり」を加味したVRコンテンツの自動生成システム~文章導仮想怪談~

髙木 亜蘭(中京大学) 小林 龍成(中京大学) 長谷川 稜馬(中京大学) 谷口 航平(中京大学) 濱川 礼(中京大学)

本論文では、ユーザが選択したテキスト形式の怪談文章の盛り上がり箇所を自動判別することで、内容に関連した怪奇現象の「演出」を行い、抑揚を付加した「声」で語るVRコンテンツの自動生成を行うシステム「文章導仮想怪談」を提案する。怪談は古くから存在し、現代でも楽しまれている文化の一つである。その楽しみ方の一つとしてVR怪談が存在している。しかし、VR怪談は対応している怪談の数が少ない。そこで我々は、ユーザがインターネット上に数多く存在する怪談文章を用いることで、多くの怪談文章に対応できる応用性のあるシステムを開発した。

公共空間でのVR利用を想定した周辺監視装置の提案

佐々木 耀(情報科学芸術大学院大学) 平林 真実(情報科学芸術大学院大学)

本稿では,公共空間でVRを利用する際のセキュリティ上の問題に着目し,その問題を解決するための周辺監視装置の試作を示す.本装置は,VRヘッドセット上に装着したセンサによって利用者の周辺環境を取得し,複数の振動モーターを用いて近くの環境の変化に関する情報を利用者に提示する.試用の結果から,セキュリティの担保し,かつVRの体験を損ねない形で,いかに周辺環境の情報を提示するかについて考察する.

もうちょっと!その調子♪ あなたの支えで調和を生みだす音楽ロボット〈Tune-Born〉

湊本耕己 (豊橋技術科学大学 情報・知能工学系) 大島直樹 (豊橋技術科学大学 エレクトロニクス先端融合研究所) 岡田美智男 (豊橋技術科学大学 情報・知能工学系)

人の奏でたメロディーのピッチに合わせて身体(からだ)をヒョコッと伸ばしながら身体の伸び縮みで音を取り,その歌をマネしようとするタマゴ型ロボット〈Tune-Born〉.身体を伸ばすことでバランスを崩して転がってしまい,うまく歌えずピッチが揺らいでしまっても,「もうちょっと!」と周囲の人の声援と手助けを引き出しながら,懸命に人と一緒に歌おうとする.本デモでは〈Tune-Born〉のコンセプトやデザイン,インタラクション手法について紹介する.

砲台型シューティングゲームにおける上達感の獲得と持続意欲に与える影響の研究

宮下秀範 (明治大学大学院)

ゲーム製作者にとってプレイヤにそのゲームを長く遊んでもらうことは重要である。多くのプレイヤは、自身の腕前が上達することで喜びを感じ、さらにその喜びを感じようとするためゲームに対する継続意欲が向上する。 しかし初心者にとって適切な難易度ではない場合、上達を感じられず短期間のプレイで放棄してしまう場合がある。 そこで本研究では、プレイヤの操作によって砲台から放たれた弾丸が標的に当たりやすくなる補助機能が付いた砲台型シューティングゲームを作成した。そしてその補助がプレイヤに気づかれないようミスを補填することで、順調に腕前が上達しているかのように見える仕組みを実装した。今後はプレイヤがその上達感を獲得した際、その後のゲームプレイの継続にどのような影響を与えるのか調査する。

単眼カメラを用いたボルダリング完登判定システムの提案

桂 大地(北海道大学) 坂本 大介(北海道大学) 小野 哲雄(北海道大学)

競技人口が増加しているボルダリングは競技の規則や判定が初心者にとって理解が難しく,完登することができたかどうかの判断を初心者が自力で行うことは困難であった.そこで,本研究では手足の静止を条件に用いた完登判定システムを実装した.また、参加者実験により精度とユーザビリティを調査した結果,熟練の経験者による判定と遜色がないことが示され,ユーザビリティも十分に高いことが示された.

30種類の香料の即時切替およびブレンド提示可能な 微小バルブ制御VR用嗅覚ディスプレイ

藤田 修二(ソニー株式会社、ソニーグローバルマニュファクチャリング&オペレーションズ株式会社) 井上 幸人(ソニー株式会社) 高木 和貴(ソニー株式会社) 山岸 和子(ソニーグローバルマニュファクチャリング&オペレーションズ株式会社)

本報告では多数の香料を同時に独立して提示できるVirtual Reality (VR) ヘッドセットなどに装着が容易なポータブル嗅覚ディスプレイ技術を紹介する。嗅覚技術をVRなどに汎用的に応用するためには、映像や音楽同様に制御自由度の高い香りの提示技術が期待される。我々が新たに開発した微小バルブを搭載するプロトタイプでは直感的な視認性および操作性UIにより30種類の香料を独立にON/OFF制御することで、瞬間的な香料の切替や、複数香料のブレンドをデモンストレーションする。

ゲームエンジンを用いた津波ハザードマップ

川合 康央(文教大学) 海津 ゆりえ(文教大学)

本研究では,ゲームエンジンとオープンデータを活用することによって,防災計画の基礎データ取得を目的とした津波避難シミュレーションシステムを開発したものである.様々な条件を持つエージェントを作成し,自律的に避難行動を行わせることによって,実在する都市の課題を明らかにする.シミュレーションの結果,内陸部でも被災が集中する場所があることが判明した.

歴史的文化景観シミュレーションシステムの開発と展開

川合 康央(文教大学)

観光地ではない一般的な街並みを対象とした,過去の街路景観シミュレーションを開発した.対象地区を東海道の宿場町や寺社とし,古文書,古地図,浮世絵を参照し,当時の街路景観の再現を行った.本報では,特に時刻や季節,天候などの時系列デザインを考慮したシステムと,浮世絵風のレンダリングを持たせたシステムについて報告する.

Shameplan-pet: オジギソウとの発話コミュニケーションシステム

栗原 渉(首都大学東京大学院) 中野 亜希人(東京工科大学) 串山 久美子(首都大学東京大学院) 羽田 久一(東京工科大学)

かねてより人々は動物とコミュニケーションを図り,共生してきた.また,機械でありながら人々と共生しているものとして動物型ロボットが挙げられる.これらは自発的な行動だけでなく,ユーザの行為に反応することでコミュニケーションを図っている.一方、植物は従来より人々に親しまれているが,その多くが動物型ロボットのように反応を返すことができないため,それらと比較して生物として扱われづらく,共生関係には至っていない.そこで、本研究では観葉植物であるオジギソウをユーザの音声によって制御することでペットのような愛着感を付与し,人と機械,そして植物の共生を目指したコミュニケーションシステムを提案する.

メタバースにおける飲用体験システムの開発:VShaker

水野史暁(慶應義塾大学) 鈴木謙太(神奈川工科大学) 小林玲羽(東京電機大学)

本研究はバーテンダーのカクテルシェイク動作を遠隔地に伝えられるシステム:VRShakerを開発し,実際にバーへ赴くことなく3D空間内でアバターを介して他の人と飲用体験を共にできるコンテンツの開発を行った.メタバースにおいて,バーテンダーのカクテルシェイカーのシェイク動作をトラッキングしVRShakerが動きに追従することで,自宅にいながら,遠く離れたバーに来ているような体験を提示すると共に,他の人に作ってもらったカクテルも味わう事ができる.

ストレッチセンサを用いた残呼気量提示機能をもつ歌唱支援システム

松井 勇介(神戸大学) 寺田 努(神戸大学) 塚本 昌彦(神戸大学)

呼吸情報は歌唱クオリティに大きく関わっているが,歌唱時の呼吸量を自身で把握することは難しい.そこで本研究では,歌唱時の呼気コントロール支援のために,歌い手の呼吸情報提示機能をもつ歌唱支援システムを提案する.提案システムでは,ストレッチセンサで取得した身体の周径変化から歌唱に使用可能な肺内の空気残量を推定し,推定結果とお手本の空気残量波形を歌唱中のユーザに対してリアルタイムに提示する.

上肢運動に着目したHMDVR空間における歩行判定モデルの構築

峯田 征和(久留米工業大学大学院) 河野 央(久留米工業大学)

HMDVR空間において,移動体験が可能になるとコンテンツ表現の幅が広がる.そこで,大規模なシステムや空間を使用せず,HMDVR空間上で歩行感覚を得るための手の振りによる上肢運動を利用した歩行判定モデルを開発した.HMDVR空間上で最も歩行感覚が得られた映像速度と上肢運動のデータを取得・解析し,歩行開始から歩行停止までの条件を定義し,被験者に対して検証実験を行った.実験の結果,上肢運動のみでも歩行感覚が得られ,歩行判定モデルの妥当性についても一定の評価が得られた.

MRを用いた伝統的絵付け技法修得教材の開発研究

中村 隆敏(佐賀大学)

本研究は伝統工芸陶磁器絵付け技能支援のため、MR用HMDを用いた技能学習支援教材を開発することで、職人希望者に対し文様や絵柄の模写再現技能修得の期間短縮を目指すことである。本研究では陶磁器絵付け伝統工芸職人の手わざによる運筆を4Kビデオカメラで撮影し、三次元入力デバイスで描画速度を記録し、筆圧を記録していく。それらのデータにより最終的にMRを用いた運筆描画訓練用教材として伝統工芸の継承分断を防ぎ、職人希望者と師匠の伝承を補完する。

インタラクション研究でのシングルケース実験についての考察

宮下芳明(明治大学)

本稿ではまず、インタラクション系の学会発表予稿集に求められる評価実験はどうあるべきかを考え、2群比較実験法の適切性、平均操作の弊害について論じている。そのうえで「シングルケース実験」を用いることが有益ではないかと考え、その歴史や実験デザイン、他分野での研究事例を紹介している。最後に、インタラクション研究の一事例として、音楽演奏支援システムの評価実験をとりあげ、シングルケース実験ならではの恩恵を享受できているか、方法論に照らせばどのように実験デザインを改善できるかを議論し、向いている分野やシステムについて考察した。

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